2016年に暴行の罪に問われ、その後の刑事裁判で無罪が確定した名古屋市の奥田恭正さん(68)は、警察が捜査の過程で集めた指紋やDNA型などのデータについて国に抹消するよう求める訴えを起こしました。
ことし8月、2審の名古屋高等裁判所は「男性のデータが本人の意思に反して捜査機関に保管されていることは憲法に違反する」と指摘して1審に続いてデータを抹消するよう国に命じ、データの抹消については判決が確定しました。
奥田さんの代理人の弁護士によりますと、判決の確定を受けて先月、警察庁の担当課に電話で問い合わせたところ、「先月13日までにデータを抹消した」と回答があったということです。
弁護士はデータがどのように保管され、その後、抹消されたのか、経緯などについて説明する場を設けるべきだと警察庁に求めていて、「判決が確定した以上は、警察庁は誠意を持って原告の疑問にこたえ、不安を取り除く義務がある」としています。