親権は子どもの身の回りの世話や財産を管理する権利と義務で、現在の制度は、離婚後、父と母のどちらか一方が親権を持つ「単独親権」となっています。
しかし、社会情勢の変化に対応できていないなどとして、法制審議会の家族法制部会は法改正に向けた見直しの議論を行い、要綱案をまとめました。
それによりますと、父母は婚姻関係の有無にかかわらず子どもへの責務を果たさなければならないと定めるとともに、単独親権に加えて、離婚後も父と母双方に子どもの親権を認める「共同親権」を導入するとしています。
そして、父母の協議によって共同親権か単独親権かを決め、合意できない場合は家庭裁判所が親子の関係などを考慮して親権者を定めます。
ただ、共同親権には離婚後もDV=ドメスティック・バイオレンスや子どもへの虐待が続くおそれがあるとして反対意見が根強いことも踏まえ、裁判所がDVや虐待があると認めた場合は、単独親権を維持するとしています。
さらに子どもが不利益を受けないように行政や福祉などの充実した支援や、国民の意識や考え方の変化に応じた検討を求める付帯決議もつけられました。
法制審議会は、来月中旬にも総会を開いて要綱を決定し、小泉法務大臣に答申することにしています。